育児休業給付金の申請手続き完全ガイド
育児休業給付金の申請手続きについて、厚労省公式手引書に基づいて分かりやすく解説します。必要書類、手続きの流れ、注意点をまとめました。
目次
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育児休業給付金の申請手続き完全ガイド|人事・総務担当者向け実務解説
育児休業給付金(雇用保険の給付の一種で、育児休業期間中の賃金減収を補填する制度)の申請手続きは、人事・総務担当者が主体となって行うケースがほとんどです。申請漏れや書類不備が起きると従業員への給付が遅れる恐れがあるため、手続きの流れと必要書類を正確に把握しておくことが重要です。本記事では、厚生労働省が発行する「雇用保険事務手続きの手引き(育休・介護・高齢者給付編)」の記載内容をもとに、受給要件から申請完了までを実務目線で解説します。
育児休業給付金とは
育児休業給付金は、雇用保険に加入している労働者(被保険者)が育児休業を取得した場合に、ハローワークへの支給申請により支給される給付金です。職場復帰を前提とした制度であり、育児休業の当初からすでに離職を予定している場合は支給対象となりません(手引書記載)。
支給額は次のとおりです。
- 育児休業開始から180日間(支給日数の合計):休業開始時賃金月額の 67%
- 181日目以降:休業開始時賃金月額の 50%
なお、育児休業給付金は非課税です(雇用保険法)。また、育児休業期間中は健康保険・厚生年金の社会保険料(本人・事業主の両負担分)が免除されます(年金事務所への手続きは別途必要)。
受給要件を確認する
申請前に、対象従業員が受給資格を満たしているか確認してください。
雇用保険の被保険者要件
ハローワークの手引書によると、受給要件は以下のとおりです。
「育児休業を開始した日の前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が通算して12か月以上あること」
ただし、12か月に満たない場合でも救済規定があります。
- 代替要件①:完全月で賃金の支払の基礎となった時間数が80時間以上の月を1か月として算定
- 代替要件②:産前休業開始日等を起算点として、その日の前2年間に賃金支払基礎日数11日以上の完全月が12か月以上ある場合
さらに、前の会社での被保険者期間との通算が認められる場合があります。転職直後の従業員でも、前職の雇用保険加入期間を合算して要件を満たせる可能性がありますので、確認を怠らないようにしましょう。
支給対象となる育児休業の回数制限
同一の子について、3回目以降の育児休業については原則として支給対象外となります(手引書記載)。ただし、育児休業の終了が他の子の産前休業開始によるものである場合など一定の例外があります(1歳の誕生日前々日までに取得するものに限る)。
申請手続きの全体の流れ
育児休業給付金の申請は、事業主(会社)がハローワークに対して行うのが原則です。以下のステップで進めてください。
ステップ1:従業員から育児休業申出書を受理する
育児休業の申出を従業員から書面で受理します。申出書は法定様式はありませんが、氏名・休業開始日・終了予定日・子の情報(氏名・生年月日等)が記載されているものを準備します。この書類は後の申請でも添付書類として使用します。
ステップ2:「本人同意書」を作成・保存する
事業主が従業員に代わって申請を行う場合は、「記載内容に関する確認書・申請等に関する同意書(育児休業給付・出生後休業支援給付用)」 を作成し、従業員から同意を取得する必要があります(手引書記載)。
この同意書は、以下の内容を確認・記録するものです。
- 育児休業給付の受給資格の確認の申請について同意する
- 雇用保険法施行規則第101条の30・第101条の33・第101条の42の規定による支給申請について同意する(今後の申請を含む)
保存期間:本給付に係る完結の日から4年間(雇用保険法施行規則第143条)
一度包括的に同意を取得すれば、2回目以降の申請も同意済みとして取り扱えます。
ステップ3:受給資格確認と初回申請をハローワークへ提出
育児休業開始後、事業所管轄のハローワークに以下の書類を提出します。
【提出書類】
| 書類名 | 備考 | |---|---| | 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書 | 育休開始前6か月間の賃金を記載 | | 育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書 | 受給資格確認と初回支給申請を兼ねる | | 賃金台帳・出勤簿(タイムカード) | 賃金の確認に使用 | | 子の出生を証明する書類(母子手帳等の写し) | 生年月日・続柄の確認 | | 育児休業申出書(従業員が事業主に提出したもの) | |
マイナンバーの記載が必要です。申請書にはマイナンバーを正確に記入してください。
【提出期限】 育児休業開始日から原則4か月以内(初回)
ステップ4:2回目以降の支給申請を継続する
育児休業給付金は、育児休業開始日から起算した**1か月ごとの「支給単位期間」**ごとに申請します。2回目以降は「育児休業給付金支給申請書」を提出します。
【支給対象となる就業日数の要件】 支給単位期間中に就業していると認められる日数が10日以下であること(10日を超える場合は、就業時間が80時間以下であること)。
なお、育児休業期間中に自社以外でアルバイトをした場合でも、育児休業を取得している企業から賃金が支払われていなければ直ちに減額はされません(手引書Q&A記載)。ただし、他社での就労日数・時間数も申請書に記入する必要があり、合算後の日数・時間によっては不支給となる場合があります。
支給期間とその延長
育児休業給付金の支給期間は、原則として子が1歳の誕生日の前々日までです。ただし、以下の場合は延長が認められます。
- 1歳6か月まで:保育所に入所できない等、保育を受けることが困難な状況にある場合
- 2歳まで:1歳6か月時点でも保育を受けられない場合のさらなる延長
延長申請にはハローワークへの申出が必要です。担当部署として、保育所の入所不承諾通知書等の証明書類を早めに確保するよう従業員に案内しておくことが実務上のポイントです。
注意事項
手続きにあたって、以下の点に十分ご注意ください。
① 不正受給への厳格な対応 手引書には「本来受けることができないにもかかわらず、不正な手段により育児休業給付の支給を受け、または受けようとした場合は不正受給の処分を受ける」と明記されています。申請者本人・事業所担当者ともに、申請内容の正確性に責任を持ってください。
② 同意書の保存管理 本人同意書の保存期限は完結から4年間です。退職後も一定期間保存が必要なため、人事ファイルへの整理・管理体制を整えておきましょう。
③ 傷病手当金との併給 育児休業開始時点で健康保険の傷病手当金が支給されている場合、両方を受給することが可能です(手引書Q&A記載)。社会保険担当部署と連携して対応してください。
④ 電子申請の活用 育児休業給付金の支給申請は電子申請が可能です(e-Gov等を利用)。申請件数が多い事業所では、電子申請システムの導入によって事務負担を大幅に削減できます。
⑤ 改正への対応 雇用保険法は近年改正が続いており、出生時育児休業給付金(産後パパ育休)や育児時短就業給付など新制度との整理が必要になる場面もあります。申請前には最新の手引書をハローワークまたは厚生労働省ホームページで確認することをお勧めします。
本記事で紹介した手続きの詳細・書式は、最寄りのハローワーク(事業所管轄)にお問い合わせいただくか、厚生労働省発行の最新版「雇用保険事務手続きの手引き(育休・介護・高齢者給付編)」をご参照ください。
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