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kounenrei2026-04-02

高年齢雇用継続給付の計算と申請完全ガイド

高年齢雇用継続給付の計算と申請について、厚労省公式手引書に基づいて分かりやすく解説します。必要書類、手続きの流れ、注意点をまとめました。

目次

十分な原文データが取得できました。記事を作成します。


高年齢雇用継続給付の計算と申請|人事・総務担当者が押さえるべき実務ポイント

60歳以降も継続して働く従業員の賃金が大きく下がったとき、その経済的な負担を緩和するのが「高年齢雇用継続給付」です。本給付金は雇用保険制度の一つであり、手続きは原則として事業主がハローワークへ行います。本記事では、支給要件・給付額の計算・申請手続きまでを実務目線で解説します。


高年齢雇用継続給付とは

高年齢雇用継続給付は、働く意欲と能力のある高年齢者の60歳から65歳までの雇用継続を援助・促進することを目的として、平成7年4月1日に施行された制度です(雇用保険法第61条〜第61条の3)。

60歳以上65歳未満の雇用保険被保険者が、60歳時点に比べて賃金が75%未満に低下した状態で働いている場合に、ハローワークへの支給申請により給付金が支給されます。

2種類の給付金

高年齢雇用継続給付には以下の2種類があります。

| 種類 | 対象者 | |------|--------| | 高年齢雇用継続基本給付金 | 雇用保険(基本手当等)を受給せずに60歳以降も継続して雇用されている方 | | 高年齢再就職給付金 | 雇用保険(基本手当等)の受給中に再就職した方 |

なお、この2つの給付金は同時に受け取ることはできません(雇用保険法第61条の2)。


支給要件を確認する

基本的な受給資格

高年齢雇用継続基本給付金の受給資格は、60歳到達時点において雇用保険の被保険者であった期間が通算して5年以上あることが前提です。60歳時点で5年に達していない場合でも、その後に5年を満たした月から受給資格が発生します。

各支給対象月ごとの支給要件

受給資格を得た後も、以下の要件をすべて満たした月(「支給対象月」といいます)ごとに支給の可否が判断されます。

  • 支給対象月の初日から末日まで一般被保険者として雇用されていること
  • 支給対象月中に支払われた賃金が、60歳到達時等の賃金月額の75%未満に低下していること
  • 支給対象月中の賃金額が支給限度額(386,922円)未満であること
  • 算出された給付金の額が最低限度額(2,411円)を超えること
  • 支給対象月の全期間にわたって、育児休業給付または介護休業給付の支給対象となっていないこと

支給対象期間

支給対象期間は「60歳到達日の属する月」から「65歳に到達する日の属する月」までです。60歳到達時に受給資格を満たしていない場合は、受給資格を満たした日の属する月からカウントが始まります。


支給額の計算方法

低下率と支給率

支給額は「支給対象月に支払われた賃金額 ÷ 60歳到達時等の賃金月額 × 100」で算出した低下率に応じた支給率を、支給対象月の賃金額に乗じて算出します。

令和7年4月1日以降に受給資格要件を満たす方の支給率早見表(一部)

| 賃金の低下率 | 支給率 | |-------------|--------| | 75%以上 | 0.00%(支給なし) | | 74.5% | 0.39% | | 72.0% | 2.42% | | 70.0% | 4.16% | | 67.0% | 6.95% | | 64.0%以下 | 10.00%(最大) |

注意:令和7年3月31日以前に受給資格要件を満たす方については、最大支給率が**15%**となります。

計算上の上限・下限

60歳到達時等の賃金月額には以下の上限・下限が設けられています(令和8年7月31日まで)。

  • 上限:508,200円(これを超える場合は508,200円として計算)
  • 下限:90,420円(これを下回る場合は90,420円として計算)
  • 支給限度額:386,922円(支給対象月の賃金+支給額がこれを超える場合は、386,922円から賃金を差し引いた額が支給額)
  • 最低限度額:2,411円(算出額がこれ以下の場合は支給されない)

これらの金額は「毎月勤労統計」の平均定期給与額の変動に応じて毎年8月1日に改定されます。


申請手続きの流れ

ステップ1:六十歳到達時等賃金証明書を作成・提出する

従業員が60歳に到達したら、事業主は**「雇用保険被保険者六十歳到達時等賃金証明書」**を作成し、事業所を管轄するハローワークへ提出します。この書類に記載された賃金月額が、給付金計算の基準となります。

ステップ2:受給資格確認票・初回支給申請書を提出する

初回の支給申請時には、以下の書類を管轄ハローワークへ提出します。

提出書類

  • 高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書
  • 払渡希望金融機関指定届(初回のみ)

添付書類

  • 雇用保険被保険者六十歳到達時等賃金証明書
  • 賃金台帳、出勤簿(タイムカード)、労働者名簿など賃金確認書類
  • 年齢確認書類の写し(運転免許証または住民票の写しなど)

マイナンバーをあらかじめ届け出ている場合は、年齢確認書類の写しを省略できます。申請書へのマイナンバーの記載は必須です。

提出先:事業所の所在地を管轄するハローワーク(電子申請も可能)

提出期限:最初の支給対象月の初日から起算して4か月以内

ステップ3:2回目以降の定期申請を行う

2回目以降の支給申請は、ハローワークから指定された月に2か月に1回申請書を提出します。指定された月(支給申請月)は「高年齢雇用継続給付次回支給申請日指定通知書(事業主通知用)」で確認できます。

提出者は原則として事業主ですが、やむを得ない事情がある場合や本人希望の場合は被保険者本人も提出できます。


年金との併給調整

特別支給の老齢厚生年金(在職老齢年金)を受給しながら高年齢雇用継続給付も受給している期間は、給付額に応じて年金の一部が支給停止される場合があります。

年金停止率は標準報酬月額 ÷ 60歳到達時賃金月額の比率によって変わり、75%以上では0%、61%以下では最大6%の停止となります。具体的な金額については最寄りの年金事務所への確認が必要です。


支給期間の延長申請

以下の理由に該当する場合は、被保険者期間の空白期間について延長申請を行うことができます。

| 理由 | 最大延長期間 | 提出期限 | |------|-------------|----------| | 病気・けが等で引き続き30日以上職業に就けない | 3年間 | 該当事由発生の翌日以降、早期に申請 | | 60歳以上の定年等で退職後、一定期間安定雇用を希望しない | 1年間 | 離職日の翌日から2か月以内 |

申請書類は「受給期間・教育訓練給付適用対象期間・高年齢雇用継続給付延長申請書」(ハローワーク窓口で入手)です。代理人が提出する場合は別途委任状が必要です。


注意事項

  • 支給率の変更:令和7年4月1日を境に最大支給率が15%から10%へ引き下げられています。従業員の受給資格取得日がいつかによって適用される率が異なります。
  • 金額の毎年改定:支給限度額・賃金月額の上限・下限・最低限度額は毎年8月1日に改定されます。計算の際は必ず最新の数値を確認してください。
  • 育児・介護休業との関係:育児休業給付または介護休業給付の支給対象となっている月は、高年齢雇用継続給付は支給されません。ただし、両者を同時に受け取ることが不可能なだけであり、育休・介護休業以外の月は通常通り受給できます。
  • 死亡時の未支給給付:受給中に本人が死亡した場合、生計を同一にしていた遺族が死亡日の翌日から6か月以内に請求することで未支給分を受け取ることができます(未支給高年齢雇用継続給付)。
  • 不正受給への厳重注意:不正受給が判明した場合は、給付金の返還に加えて最大3倍の金額が徴収されることがあります。事業主も連帯して責任を負う場合があるため、申請内容の正確な記載・確認を徹底してください。
  • ハローワークへの事前相談:支給要件を満たすかどうか判断が難しい場合は、支給申請を行う前に必ず管轄ハローワークへ相談することをお勧めします。

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