離職票の書き方完全ガイド
離職票の書き方について、厚労省公式手引書に基づいて分かりやすく解説します。必要書類、手続きの流れ、注意点をまとめました。
目次
取得した手引書データをもとに記事を作成します。
離職票の書き方完全ガイド|人事・総務担当者が押さえるべき記入ポイント
従業員が退職した際、ハローワークへの提出が義務づけられているのが雇用保険被保険者離職証明書(以下「離職証明書」)です。この書類をもとにハローワークが交付するのが離職票で、元従業員が失業給付を受け取るための重要書類となります。記載内容の誤りは受給資格・給付日数・給付制限の有無に直接影響するため、担当者は正確な記入方法を習得しておく必要があります。
離職証明書と離職票の基本
書類の構成と役割
離職証明書は3枚複写で構成されています。
| 葉目 | 用途 | |------|------| | 第1葉目 | 事業主控 | | 第2葉目 | 安定所提出用 | | 第3葉目 | 離職票-2(元従業員へ交付) |
3枚を同時に記載し、第2・第3葉目をハローワークへ提出します。ハローワークが審査・確認印を押した第3葉目が離職票-2として元従業員に返却される仕組みです。
提出期限と注意点
手引書によれば、事業主は従業員が離職した翌々日から10日以内に、雇用保険被保険者資格喪失届に離職証明書を添えてハローワークへ提出しなければなりません。
なお、離職票の交付を希望しない場合(資格喪失届の7欄に「2」を記載)は離職証明書の提出は不要です。ただし、元従業員から後日請求があった場合には、離職証明書を作成・交付する義務が生じる点に注意してください。
提出の際は以下を持参してください。
- 賃金台帳・給与明細(原則12か月分)
- 出勤簿・タイムカード
- 労働者名簿
- 離職理由の確認資料(退職願、解雇予告通知書、雇用契約書など)
- 担当者の印鑑
ステップ形式でわかる離職証明書の書き方
ステップ1:基本情報欄(1〜6欄)を記入する
1〜6欄には、事業所の基本情報・被保険者番号・氏名・生年月日・離職年月日などを記入します。特に4欄の離職年月日は8欄の起点となるため、正確に記載してください。
ステップ2:離職理由欄(7欄)を記入する
7欄は失業給付の内容を左右する最重要欄です。事業主記入欄の該当する□に○を記入し、**「具体的事情記載欄(事業主用)」**に離職に至った経緯を詳細に記載します。空欄や選択漏れは認められません。
手引書に示された離職理由の区分は以下のとおりです。
| 区分 | 主な事由 | 具体的記載例 | |------|----------|-------------| | 1の(1) | 倒産・手形取引停止 | 破産申立・民事再生手続開始申立など | | 2の(1) | 定年 | 就業規則の条番号と定年年齢(例:65歳)を明記 | | 2の(2) | 再雇用期限到来 | 再雇用時の雇用期限と更新条件(例:65歳まで、1年更新)を記載 | | 2の(3) | 労働契約期間満了(雇止め) | 雇用開始日・契約期間・更新回数・雇止め経緯を記載 | | 3の(1) | 解雇 | 解雇日・解雇理由(人員整理等)・解雇予告日を記載 | | 3の(3) | 希望退職 | 制度の提示時期・募集期間(例:3週間)を記載 | | 4の(1)の1 | 賃金低下による自己都合 | 低下前後の具体的な金額(例:基本給40万円→30万円)と低下時期を記載 | | 4の(1)の2 | 職場環境の問題(ハラスメント等) | 上司・同僚による排斥、著しい嫌がらせ、セクシュアル・ハラスメント等 | | 4の(2) | 体調不良・育児・介護等 | 病名と診断日、または育児・介護の具体的事情を記載 | | 5 | その他 | 1〜4のいずれにも該当しない場合に○を記入し、具体的理由を記載 |
**雇止めの場合(2の(3))**は、労働者からの更新・延長希望の申出内容に応じた該当事項にも○を記載します。申出の機会がなかった場合は「希望に関する申出はなかった」に○を記載します。
ステップ3:賃金支払状況欄(8〜14欄)を記入する
8欄には、一般被保険者・高年齢継続被保険者として離職した場合は**○A欄に、短期雇用特例被保険者として離職した場合は○B欄**に記載します。
- 「離職日の翌日」欄:4欄の離職年月日の翌日を記入
- 左側月日欄:離職日の属する月から遡った各月の「喪失応当日」(離職日の翌日に応当する日。該当日がない月はその月の末日)を記入
- 記載範囲:離職日以前2年間(24段に達するまで)で、被保険者期間が通算して12か月になるまで
賃金支払い日数が11日以上ある月が「完全月」として被保険者期間の1か月と算定されます。ただし、完全月が12か月に満たない場合は特例として、総勤務時間数が80時間以上の月を完全月扱いとすることができます(令和2年8月改正)。この場合、13欄(備考欄)に月の総勤務時間数を記入する必要があります。
休業手当が支払われた場合は、13欄に「休業」と表示し、休業日数と支払った休業手当の額を記載します。月の全期間にわたって休業した場合は「全休業」と表示します。また、雇用調整助成金の支給を受けている場合は、13欄の余白に「雇調金」と表示し、支給決定を受けた年月日を記載します。
傷病等で就労できず賃金の支払いがない月については、最終月を除き、医師の診断書等による証明を添付することで記入を省略できます。省略できる書類の例としては、傷病手当金支給申請書(写)や診断書等があります。
なお、記載欄が不足した場合は続紙を使用し、表題右に「続紙」と記入のうえ、1〜4欄・事業主欄・8〜14欄のみ記載してください。続紙の8〜14欄は不要な記載欄を二重線で抹消し、2段目から使用します。
ステップ4:離職者本人の確認欄(16欄)を記入させる
安定所提出用(第2葉目)の16欄には、離職者本人が7欄の離職理由に対して「異議 有り・無し」を○で囲み、記名押印または自筆署名を行います。
本人の署名・押印が得られない場合は、同欄にその理由を記載し、事業主の押印または自筆署名を行います。
算定対象期間の延長特例
傷病・産前産後・3歳未満の育児等により引き続き30日以上賃金の支払いを受けられなかった期間がある場合、その日数を算定対象期間に加算できます(最長で計4年間まで延長可能)。適用には診断書等による証明が必要です。
欠勤・賃金支払なしの期間は、備考欄に「7.31まで の○○日間 傷病により欠勤・賃金支払なし」のように記入します。
注意事項
- **離職理由の最終判定はハローワークが行います。**事業主・離職者双方の主張と確認資料をもとに慎重に判断されるため、事実と異なる記載は厳禁です。
- 離職理由の区分によって、元従業員が特定受給資格者または特定理由離職者に該当するかどうかが変わり、所定給付日数や給付制限の有無が大きく異なります。特定受給・特定理由に該当する場合、離職前1年間に被保険者期間が通算6か月あれば受給資格を満たしますが、該当しない場合は離職前2年間に12か月必要です。
- 記載後に内容の誤りが判明した場合は、「雇用保険被保険者資格取得・喪失等届訂正・取消願」をハローワークに提出してください。訂正内容を確認できる資料が必要になる場合があるため、事前にハローワークへ相談することを推奨します。
- 退職願・解雇通知書・退職勧奨通知書は原則として添付が求められますが、紛失等がある場合でも受理される場合があります。ただし、あれば必ず添付してください。
- 電子申請を利用する場合は、添付書類のスキャンデータが必要となるケースがあります。事前にハローワークインターネットサービスで要件を確認してください。
離職証明書は、元従業員の生活保障に直結する書類です。手引書の記載ルールに沿って正確に作成し、提出期限(離職翌々日から10日以内)を厳守することが、人事・総務担当者としての重要な責務です。不明点はすみやかに管轄ハローワークへ問い合わせてください。
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