手引きMCP労務ナレッジ
rousai2026-04-02

労災保険の給付申請手続き完全ガイド

労災保険の給付申請手続きについて、厚労省公式手引書に基づいて分かりやすく解説します。必要書類、手続きの流れ、注意点をまとめました。

目次

取得した手引書データをもとに、記事を作成します。


労災保険の給付申請手続き完全ガイド|人事・総務担当者が押さえるべき実務知識

従業員が業務中や通勤中にケガをした、あるいは業務が原因で病気になった——。そのとき、会社の人事・総務担当者が迅速かつ正確に動くことが求められます。本記事では、厚生労働省の公式手引書に基づき、労災保険の給付申請手続きを「療養補償」「休業補償」の2本柱で解説します。


労災保険の給付申請とは

労災保険(労働者災害補償保険)は、業務上の事由または通勤が原因で労働者がケガや病気、死亡した場合に、必要な保険給付を行う制度です。申請先は所轄の労働基準監督署となります。

給付には大きく分けて次の種類があります。

  • 療養(補償)等給付:治療費の補償
  • 休業(補償)等給付:休業中の生活補償
  • 障害(補償)等給付:後遺障害が残った場合の補償
  • 遺族(補償)等給付:労働者が死亡した場合の補償

本記事では実務上もっとも頻度の高い、療養補償と休業補償の申請手続きに絞って解説します。


療養(補償)等給付:治療費の申請

療養(補償)等給付とは、業務上または通勤によるケガ・病気の治療費を労災保険が負担する給付です。

ステップ1:指定医療機関か否かを確認する

労災保険には、労働基準監督署長が指定した「労災指定病院等」があります。

  • 指定病院を受診する場合:窓口での費用負担なし。「療養補償給付たる療養の給付請求書(様式第5号)」を病院に提出し、医療機関が労働基準監督署へ請求する流れになります。
  • 指定病院以外を受診した場合:いったん医療費を全額立て替え払いし、後日「療養補償給付たる療養の費用請求書(様式第7号)」を労働基準監督署に提出して還付を受けます。

請求書は厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousaihoken.html )からダウンロード可能です。

ステップ2:必要事項を記入・事業主の証明を取得する

請求書には被災労働者本人の情報のほか、事業主による証明(災害発生の事実や事業主としての確認)が必要です。複数の事業場に就業している場合は、その旨と事業場数の記入も求められます。

ステップ3:労働基準監督署へ提出する

書類が整ったら、所轄の労働基準監督署へ提出します。通勤災害の場合は様式の番号が異なる(様式第16号の5等)ため、業務災害か通勤災害かを必ず確認してください。


休業(補償)等給付:休業中の生活補償の申請

休業(補償)等給付とは、業務上または通勤によるケガ・病気の療養のため仕事を休み、賃金が支払われない場合に受けられる給付です。

支給の3要件

厚生労働省の手引書によると、以下の3要件をすべて満たすことが支給の条件です。

  1. 業務上の事由または通勤による負傷・疾病の療養のため
  2. 労働することができないため
  3. 賃金を受けていない

ステップ1:待期期間(1〜3日目)を把握する

休業初日から第3日目までは「待期期間」と呼ばれ、労災保険からの給付は行われません。業務災害の場合、この期間は事業主が労働基準法に基づく休業補償(1日につき平均賃金の60%)を支払う義務があります。ただし、複数業務要因災害・通勤災害の場合は、待期期間中の事業主補償責任についての法令上の規定はありません。

ステップ2:給付基礎日額を確認する

支給額の基礎となる「給付基礎日額」は、原則として事故発生日の直前3か月間に支払われた賃金総額(ボーナス・臨時賃金を除く)を、その期間の暦日数で割った額です。

複数の事業場に勤務している複数事業労働者の場合は、各就業先の給付基礎日額を合算した額が基礎となります。

ステップ3:第4日目から給付申請を行う

休業4日目から給付が開始されます。支給額は次のとおりです。

| 種別 | 支給額 | |------|--------| | 休業補償給付(業務災害)・休業給付(通勤災害) | 給付基礎日額の60% × 休業日数 | | 休業特別支給金 | 給付基礎日額の20% × 休業日数 | | 合計 | 給付基礎日額の**80%**相当 |

複数事業労働者の場合も、合算した給付基礎日額の60%(休業補償給付)+20%(特別支給金)が支給されます。

ステップ4:請求書を作成・提出する

  • 業務災害・複数業務要因災害:「休業補償給付支給請求書」(様式第8号
  • 通勤災害:「休業給付支給請求書」(様式第16号の6

いずれも事業主の証明を受けて、所轄の労働基準監督署長に提出します。休業が長期にわたる場合は、1か月ごとに請求するのが一般的です。

なお、休業特別支給金の支給申請は原則として休業(補償)等給付の請求と同時に行い、様式も同一のものを使用します。


一部休業の場合の取り扱い

通院などで所定労働時間の一部だけ休業した場合は、**給付基礎日額から実際に労働した部分に対して支払われた賃金額を控除した額の60%**が支給されます。丸1日休業しなくても請求できることを覚えておきましょう。


注意事項

① 請求権の時効は2年 休業(補償)等給付の請求権は、賃金を受けない日ごとに発生し、その翌日から2年を経過すると時効により消滅します。申請が遅れると権利を失うおそれがあるため、速やかな手続きが重要です。

② 通勤災害の一部負担金 通勤災害により療養給付を受ける場合、初回の休業給付から一部負担金として200円(日雇特例被保険者は100円)が減額されます。

③ 離職後の申請における事業主証明 第2回目以降の請求が離職後である場合、原則として事業主の証明は不要です。ただし、請求対象の療養期間の全部または一部が離職前にかかる場合は、証明が引き続き必要です。

④ 賃金水準のスライド制 賃金水準が四半期で±10%を超えて変動した場合、給付基礎日額は変動率に応じてスライド(増減)されます。また、療養開始後1年6か月を経過した場合は、年齢階層別の最低・最高限度額が適用されます。

⑤ 健康保険との混同に注意 業務上または通勤が原因のケガ・病気に健康保険は使えません。必ず労災保険で申請してください。誤って健康保険を使用した場合は、後日切り替え手続きが必要になります。


本記事は厚生労働省公式手引書(労災保険給付申請手続き関係)に基づき作成しています。制度の詳細や最新情報については、所轄の労働基準監督署または厚生労働省ホームページをご確認ください。

関連記事