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shoubyou2026-04-02

傷病手当金の申請手続き完全ガイド

傷病手当金の申請手続きについて、厚労省公式手引書に基づいて分かりやすく解説します。必要書類、手続きの流れ、注意点をまとめました。

目次

手引書データを取得できました。これをもとに記事を作成します。


傷病手当金の申請手続き完全ガイド|人事・総務担当者が押さえるべき要点と書き方

従業員が病気やケガで長期休業するとき、会社として対応しなければならない手続きの一つが「傷病手当金」の申請サポートです。本記事では、協会けんぽの公式手引書をもとに、受給要件から申請書の記入方法、退職後の継続受給まで、実務担当者が知っておくべき情報を体系的に解説します。


傷病手当金とは

傷病手当金とは、健康保険の被保険者(会社員等)が業務外の病気やケガによって働けなくなり、給与が支払われない期間に支給される所得補償給付です。生活費の確保という観点から、休職制度と並んで重要な制度です。

なお、業務中のケガや通勤途中の事故は「労災保険」の適用対象となるため、傷病手当金の対象にはなりません。判断に迷う場合は、所轄の労働基準監督署に確認してください。


受給要件

傷病手当金を受給するには、以下の要件をすべて満たす必要があります。

  1. 健康保険の被保険者であること(任意継続被保険者も対象)
  2. 業務外の病気やケガによる療養であること
  3. 4日以上仕事に就けないこと(連続する3日の休業=待期期間を含む)
  4. 休業期間中に給与が支払われないこと

待期期間(3日間)について

傷病手当金は、休み始めから連続する3日間(待期期間)を経過した4日目以降から支給対象となります。待期期間の3日間には、有給休暇・公休日・欠勤日も含めてカウントします。1回目の申請書を記入する際は、この待期期間の3日間を含めて申請期間に記入してください。


支給額と支給期間

支給額の目安

傷病手当金の1日当たりの支給額は、支給開始日以前12ヶ月間の各月の標準報酬月額(健康保険の算定基礎となる報酬額)の平均を30で割った額の3分の2です。

支給期間

支給開始日から通算して1年6ヶ月が上限です。「退職日から1年6ヶ月」ではなく、最初に傷病手当金の支給が始まった日を起点に通算する点に注意が必要です。

他給付との調整(減額)

以下の給付を同時に受けている場合は、傷病手当金が減額または不支給となります。

  • 同一傷病で障害厚生年金または障害手当金を受給している場合
  • 退職後に老齢年金を受給している場合
  • 労災保険から休業補償給付を受けている間に、別の業務外傷病で労務不能となった場合
  • 出産手当金を受給している場合
  • 休業期間中に給与・手当が支給されている場合

他の給付の1日当たり額が傷病手当金より低い場合は差額のみ受給できますが、高い場合は傷病手当金は支給されません。また、複数の傷病が重複する期間については、日額の高い方の傷病手当金を受給できます。


申請手続きの流れ

ステップ1:申請書を入手する

傷病手当金支給申請書は、協会けんぽの公式ホームページからダウンロード・印刷して使用します。令和5年1月から新様式に変更されていますので、古い様式を使用しないよう注意してください。印刷はA4片面・100%・トナーセーブ解除の設定で行います(スキャナー読み取り対応のため)。

ステップ2:被保険者(従業員)が1・2ページ目を記入する

1ページ目(被保険者基本情報)

  • 氏名および氏名(カナ)の両方を必ず記入
  • 振込先口座は被保険者本人名義の口座のみ指定可(令和5年1月以降、受取代理人欄は廃止)
  • ゆうちょ銀行を指定する場合は、従来の記号・番号ではなく、振込専用の店名(漢数字3文字)と7桁の口座番号を記入

2ページ目(労務不能期間・仕事内容)

  • 仕事内容は「経理事務担当」「プログラマー」など具体的に記入する
  • 申請期間中に賃金支給がある場合は「1」を記入
  • 未来日の申請は不可。申請期間が終了してから記入・提出する

ステップ3:事業主(会社)が3ページ目を記入する

3ページ目は事業主証明欄です。実務担当者が最も注意すべきパートです。

出勤状況欄

  • 出勤した日付のみ「〇」を記入する
  • 有給休暇・公休日・欠勤日は記入不要
  • 所定労働時間の一部のみ勤務した日(半日出勤など)も「〇」を記入する

報酬支給欄(記入が必要なもの)

  • 申請期間中に取得した有給休暇の賃金
  • 申請期間中に支給した通勤手当(一括支給の場合は対象期間と金額を記入)
  • 申請期間中も継続支給した扶養手当・住宅手当等の固定的手当

報酬支給欄(記入不要のもの)

  • 出勤日に対して支給した残業手当等の変動的賃金
  • 見舞金等の一時的な支給

証明日は申請期間の終期以降の日付を記入します。申請期間中の日付を記入すると書類不備になるため注意が必要です。

ステップ4:医師(療養担当者)が4ページ目を記入する

4ページ目は主治医等の療養担当者が記入する欄です。担当者が直接医療機関へ持参するか、記入を依頼するための書類を準備します。

記入内容は以下のとおりです。

  • 傷病の初診日
  • 労務不能と認められた期間
  • 症状・経過と、労務不能と認められる医学的所見

申請書の傷病名と療養担当者記入欄の傷病名が異なる場合は、その傷病に対する療養担当者の証明が別途必要になります。

ステップ5:申請書を提出する

1〜4ページをすべて揃えて、協会けんぽの各都道府県支部に提出します。郵送または窓口への持参が一般的です。

申請期限:就労不能であった日ごとにその翌日から2年以内に申請する必要があります。


退職後(資格喪失後)の傷病手当金

退職した従業員が傷病手当金の継続受給を希望する場合、以下の5要件をすべて満たす必要があります。

  1. 退職日までに1年以上継続して健康保険の被保険者であったこと
  2. 退職日の前日までに療養のために継続して3日以上休業し、退職日も休業していたこと
  3. **失業給付(雇用保険の基本手当)**を受けていないこと
  4. 在職時と同一の傷病により、退職後も引き続き労務不能であること
  5. 労務不能の期間が継続していること(断続的な受給は不可)

退職後の申請書には、在職時の保険証の記号・番号を記入します。また、受給期間の上限は退職日からではなく、支給開始日から通算して1年6ヶ月の範囲内となります。


主な添付書類

状況に応じて以下の書類の添付が必要です。

| 状況 | 必要書類 | |------|----------| | 支給開始日以前12ヶ月以内に事業所変更あり | 以前の各事業所の名称・所在地・使用期間がわかる書類 | | 障害厚生年金を受給中(MN照会を希望しない場合) | 年金証書および年金額改定通知書(コピー可) | | 障害手当金を受給中(MN照会を希望しない場合) | 支給を証明する書類のコピー | | 資格喪失後に老齢年金を受給中(MN照会を希望しない場合) | 年金証書および年金額改定通知書(コピー可) | | 労災保険から休業補償給付を受給中 | 休業補償給付支給決定通知書のコピー | | 第三者行為による傷病 | 第三者行為による傷病届 | | 証明書等が外国語の場合 | 翻訳文(翻訳者の署名・住所・連絡先を記入) | | 被保険者が死亡し法定相続人が申請する場合 | 戸籍謄本(原本) |


注意事項

  • 業務上・通勤途中の傷病は対象外です。労災保険の適用可能性があるため、必ず労働基準監督署に確認してください。
  • 未来日の申請は受け付けられません。必ず申請期間が終了した後に提出してください。
  • 振込口座は被保険者本人名義のみ有効です(令和5年1月以降、受取代理人制度は廃止)。
  • 申請は月単位など定期的に行うことを従業員に案内してください。申請期限は就労不能日の翌日から2年以内ですが、長期間まとめて申請すると書類の確認が煩雑になります。
  • 退職後の継続受給は断続的な受給が認められません。一度でも就労可能な状態に回復した場合は、その後の傷病手当金受給権を失う可能性があります。
  • 申請書の傷病名について、**精神疾患(うつ病・適応障害等)**を原因とする申請が近年増加しています。傷病名の取り扱いには個人情報保護の観点から十分な配慮が必要です。

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